スマートフォンの画面に表示された、見知らぬ「070」から始まる電話番号。「えっ、070?これってPHSじゃないの?」「もしかして怪しい業者?」と、着信画面を見て一瞬ドキッとしてしまった経験はありませんか?出るべきか、無視すべきか迷っている間に電話が切れてしまい、モヤモヤした気持ちだけが残る……そんな悩みを持つ方は非常に多いです。
結論からお伝えすると、現在の070番号はPHSではなく、ほぼすべてが「普通のスマートフォン」です。しかし、だからといって無警戒にかけ直すのはおすすめできません。なぜなら、生活に必要な「重要な連絡」である可能性と、悪質な「詐欺・迷惑電話」である可能性が、紙一重で混在しているからです。
この記事では、070番号が増えている背景を分かりやすく解説した上で、「今すぐ出るべき安全な電話」と「絶対に関わってはいけない危険な電話」を一瞬で見分ける方法を徹底解説します。この記事を読めば、もう着信に怯えることはなくなり、自信を持って「無視」か「対応」かを判断できるようになります。
070から始まる電話番号の正体とは?
かつて「070」といえばPHS(Personal Handy-phone System)の代名詞でした。しかし、通信業界の事情はここ数年で大きく変化しており、私たちの持つイメージと実態には乖離が生じています。まずは、なぜ今070番号が増えているのか、その背景にある事情を正しく理解しておきましょう。
070はPHS?実はもう終了しています
多くの人が抱いている「070=PHS」という認識は、現在の通信環境においては過去のものとなりつつあります。PHSの一般向け音声通話サービスは2021年1月末をもって終了し、自動販売機の在庫管理などに使われていたテレメタリングサービスも2023年3月末に終了しました。つまり、現在着信がある070番号がPHS端末から発信されている可能性は、極めて低いと言えます。
では、なぜこれほどまでに070番号が増えているのでしょうか。最大の理由は、携帯電話の普及に伴う「090」および「080」番号の枯渇です。スマートフォンが一人一台、あるいは複数台を持つ時代となり、従来の番号だけでは割り当てが追いつかなくなりました。その対策として、2013年11月から携帯電話番号として070の利用が開始され、現在新規でスマートフォンを契約すると、多くの確率で070番号が割り当てられるようになっています。
したがって、070から電話がかかってきたからといって、それが特殊な回線であると警戒する必要はありません。ドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアで契約した最新のiPhoneであっても、番号が070であることは今や日常的な光景となっています。
なぜ「070」は怪しいと思われるのか
070が正規の携帯電話番号であるにもかかわらず、なぜ世間では「070からの電話は怪しい」というネガティブなイメージが払拭されないのでしょうか。これには、格安SIM(MVNO)の普及と、それを悪用する業者の存在が深く関係しています。
近年、大手キャリアの回線を借りてサービスを提供する格安SIM事業者が急増しました。これらのサービスは月額料金が非常に安く、審査も比較的緩やかである場合が多いため、大量の回線を安価に確保したいビジネス事業者にとって都合が良い側面があります。特に、不動産投資の勧誘、不用品回収の営業、あるいは詐欺まがいの商材を売りつける業者が、通話専用の端末として格安SIMを大量契約し、その番号が070であるケースが目立つのです。
また、以前使われていた番号が解約された後、一定期間を経て別の契約者に再割り当てされる「リサイクル番号」の問題もあります。以前の持ち主がトラブルを抱えていたり、ウェブ上の名簿に登録されていたりした場合、新しく契約しただけの無関係な人が、知らない相手からの着信に悩まされるという現象も起きています。このように、「コストの安さから業者が使いやすい」という背景が、070番号全体の信頼度を下げてしまっているのが現状です。
【危険度判定】かけ直す前に確認!出るべき電話と無視すべき電話
070番号には、一般の利用者と悪質な業者が混在しているため、すべての着信を無視するわけにはいきません。重要な連絡を逃してしまい、後でトラブルになることを防ぐために、着信のシチュエーションに応じた判断基準を持つことが重要です。ここでは、無視してはいけない重要な連絡と、即座に警戒すべき危険な着信の特徴を分類します。
無視厳禁!実は「重要な連絡」の可能性
見知らぬ番号であっても、日常生活に直結する重要な連絡である可能性は十分にあります。特に近年増えているのが、配送業者からの連絡です。Amazon、楽天、ヤマト運輸などの配送ドライバーは、個人事業主として業務委託を受けているケースが多く、業務用の連絡手段として個人のスマートフォン(070番号)を使用していることが多々あります。「住所が不明確で届けられない」「宅配ボックスがいっぱいで入れられない」といった緊急の確認電話である場合、これを無視すると荷物が持ち戻りとなり、再配達の手配に手間取るだけでなく、最悪の場合は荷物が発送元へ返送されてしまうこともあります。
また、新しい生活サービスや就職活動に関連する連絡も070から入ることがあります。例えば、Uber Eatsや出前館などのフードデリバリーを利用した際、配達員が道に迷って連絡をしてくる場合は、アプリ経由の通話や070番号が使われます。さらに、就職活動や転職活動を行っている方であれば、応募先企業の人事担当者が社用携帯から連絡をしてくるケースや、登録した派遣会社、予約した美容室や歯科医院からの日程調整の連絡である可能性も考えられます。
このように、自分自身が何らかのサービスを利用中であったり、何かの到着を待っていたりするタイミングでの070着信は、必要な連絡である可能性が極めて高いです。心当たりがある場合は、無視せずに出るか、留守番電話のメッセージを確認する習慣をつけるべきでしょう。
こんな070着信は詐欺・迷惑電話の可能性大
一方で、明らかに出る必要がなく、むしろ関わることでリスクが生じるパターンの着信も存在します。その代表例が「ワン切り」です。携帯電話が1回か2回鳴っただけですぐに切れる着信は、相手に履歴を残し、折り返し電話をさせることを目的としています。これにかけ直してしまうと、高額な通話料が発生する国際電話詐欺に繋がったり、あるいは「この番号は現在使われており、反応する人物である」という情報をリスト化され、さらなる迷惑電話のターゲットにされたりする恐れがあります。
また、電話に出た瞬間に人間ではなく機械音声(自動音声ガイダンス)が流れる場合も、最大限の警戒が必要です。「NTTファイナンスです。未納料金があります」「法的措置に移行します」といった不安を煽る自動音声は、無作為に電話をかけて反応した人を騙す詐欺の手口として常套化しています。正規の公的機関や大手企業が、個人の携帯電話に対して、突然自動音声で督促を行うことはまずあり得ません。
さらに、マンション経営や太陽光発電などの投資勧誘の電話も070番号から頻繁にかかってきます。これらは一度でも電話に出て対応してしまうと、「見込み客」として認識され、言葉巧みに営業トークを展開されたり、別の番号から何度もかけ直されたりする原因となります。心当たりがない、かつ留守番電話にもメッセージを残さないような着信に対しては、自分からかけ直さないことが自衛の鉄則です。
相手を特定する方法と、しつこい時の対処法
「重要な電話かもしれないが、詐欺かもしれない」という迷いを解消するためには、電話に出る前、あるいはかけ直す前に相手を特定するプロセスを挟むのが最も安全です。現代ではインターネット上のデータベースを活用することで、電話番号の主が誰であるか、ある程度推測することが可能になっています。
電話番号検索サイトを活用するコツ
見知らぬ070番号から着信があった際、最初に行うべきアクションは、その番号をGoogleやYahoo!などの検索エンジンに入力して検索することです。多くの場合、「電話帳ナビ」や「Junkcall(ジャンクコール)」「jpnumber」といった、電話番号の口コミサイトが検索結果の上位に表示されます。これらのサイトは、実際にその番号から電話を受けたユーザーからの報告が集約されており、相手の正体を知るための強力なツールとなります。
検索の手順は非常にシンプルです。着信履歴にある番号をコピーし、検索窓にペーストして検索ボタンを押すだけです。もしその番号が配送業者であれば「○○運送ドライバー」といった口コミが見つかるでしょうし、悪質な業者であれば「不用品買取の押し買い」「ワン切り詐欺」といった警告のコメントが多数投稿されているはずです。特に、直近の日付で「迷惑電話」という報告が急増している番号であれば、現在進行形で無差別に架電している業者であると判断できます。
また、検索結果に何も情報が出てこない場合は、個人の携帯電話である可能性か、まだ使われ始めたばかりの新しい番号である可能性があります。その場合は、留守番電話にメッセージが残されているかを確認し、メッセージがなければ基本的には様子見(放置)で問題ありません。本当に用事がある相手であれば、必ず留守番電話を残すか、時間を改めてかけ直してくるはずだからです。
iPhone・Android別 着信拒否設定のやり方
検索の結果、明らかに迷惑電話であると判明した場合、あるいは同じ番号から執拗に着信が続く場合は、スマートフォンの機能を使って着信拒否設定を行うことを強く推奨します。着信拒否を設定すれば、相手には「お繋ぎできません」といったアナウンスが流れ、こちらの端末は着信音も鳴らず、通知も来なくなるため、精神的なストレスから解放されます。
iPhoneの場合は、まず「電話」アプリを開き、「履歴」タブをタップします。拒否したい電話番号の右端にある「i」マーク(インフォメーションマーク)をタップして詳細画面を開きます。画面を一番下までスクロールすると「この発信者を着信拒否」という赤字の項目があるので、それをタップし、確認画面で「連絡先を着信拒否」を選択すれば完了です。
Androidの場合は、機種によって多少操作が異なりますが、基本的には「電話」アプリの「履歴」から操作します。着信履歴にある対象の電話番号を長押しするとメニューが表示されるので、その中から「ブロックして迷惑電話として報告」や「番号をブロック」を選択します。確認画面が表示されたら「ブロック」をタップすることで設定完了です。
さらに高度な対策として、OSの設定で「登録外の番号をすべて消音する」という機能もありますが、これを設定すると配送業者や緊急の連絡も気付けなくなるリスクがあるため、基本的には個別にブロックしていく方法をおすすめします。一度ブロックしてしまえば、二度とその番号から悩まされることはありません。
「070から始まる電話番号」への対処法まとめ
この記事では、070番号の正体から危険な着信の見分け方、具体的な対処法までを解説しました。最後に、重要なポイントを整理します。
- 070番号の正体は「普通のスマホ」かつてのPHSサービスは終了しており、現在は090/080番号の枯渇に伴い、一般的なスマートフォンにも070が割り当てられています。過度に恐れる必要はありません。
- 「出るべき電話」と「無視すべき電話」を見極める配送業者や予約確認などの重要な連絡の可能性がある一方で、ワン切りや自動音声ガイダンスは詐欺のリスクが高いため、心当たりがない場合は警戒が必要です。
- 不明な着信は「検索」と「ブロック」で対処する知らない番号にはすぐに出ず、まずは番号検索サイトで正体を確認し、悪質な場合は着信拒否設定で自衛することが、トラブルを未然に防ぐ近道です。
070着信に対する正しい知識を持ち、検索や設定をうまく活用して、安心・安全なスマホライフを送りましょう。
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