見慣れない「+1」から始まる電話番号から着信があり、不安を感じてこの記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
先に結論からお伝えすると、その電話の多くは北米(アメリカやカナダなど)を装った、極めて危険な国際電話詐欺である可能性が高いです。
たとえ心当たりがあったとしても、安易に折り返し電話をしてはいけません。
この記事では、近年急増している「+1」から始まる電話番号の正体と、もし電話に出てしまった場合の対処法、そして二度と鳴らさないための完璧な拒否設定を詳しく解説します。


「+1」から始まる電話番号の正体と国番号の仕組み
スマートフォンの画面に表示される「+1」という表記は、国際電話における「国番号」を指しています。
これは北米電話番号計画(NANP)に組み込まれた地域を示すもので、具体的にはアメリカ合衆国、カナダ、そしてバミューダ諸島やカリブ海の国々が含まれます。
日本国内にいる限り、これら北米地域に家族や友人がいないのであれば、基本的には「身に覚えのない不審な電話」と判断して間違いありません。
警察庁や国民生活センターも、心当たりのない「+」から始まる国際電話番号からの着信に対し、「折り返し電話を絶対にしない」よう強く注意を呼びかけています。
参考:独立行政法人 国民生活センター「心当たりのない国際電話番号からの着信に注意!」
なぜ海外からの電話が急増しているのか
現在、インターネット回線を利用した「VoIP(IP電話)」の技術が悪用され、世界中のどこからでも発信元番号を偽装して電話をかけることが可能になっています。
詐欺グループは日本のユーザーをターゲットにする際、あえて「+1」という見慣れない国際番号を使用することで、心理的な動揺を誘ったり、公的機関を装ったりする手法をとっています。
海外を経由させることで、日本の警察の捜査が及びにくいという点も、彼らが国際番号を多用する大きな理由の一つです。
「1855」「1877」「1844」などの特定番号に注意
特に「+1」に続いて、「1855」「1877」「1844」「1800」といった数字から始まる番号には最大限の警戒が必要です。
これらは北米において「トールフリー(着信者課金)」、日本でいうところの「フリーダイヤル(0120)」に相当する番号帯です。
企業やカスタマーサポートを装うために使われるケースが非常に多く、自動音声ガイダンスなどで「未払いの料金がある」「アカウントが停止された」といった偽の警告を流す詐欺が多発しています。
「+1」から始まる詐欺電話の巧妙な手口
最近の国際電話詐欺は、単に電話をかけるだけでなく、非常に巧妙な心理戦を仕掛けてきます。
彼らの目的は、あなたの個人情報を引き出すこと、あるいは「国際電話の折り返し」をさせて高額な通話料を発生させる(国際ワン切り詐欺)ことにあります。
総務省やNTTを騙る自動音声ガイダンス
電話に出ると、「こちらは総務省です。あなたの電話はあと2時間で利用停止になります」といった録音された音声が流れるパターンです。
「詳細を確認する場合は『1』を押してください」と促され、指示に従うと、警察官や役所職員を名乗る詐欺師に繋がります。
総務省の公式サイトでは、同省の職員が「電話の利用停止」を理由に自動音声で個人へ連絡したり、個人情報を聞き出したりすることは一切ないと明言されています。
参考:総務省「総務省職員を名乗る不審な電話等にご注意ください」
偽のカスタマーサポートによるウイルス感染詐欺
マイクロソフトやAmazonといった大手企業のサポートセンターを装い、「あなたのパソコンに異常が検知されました」と警告する手口です。
遠隔操作ソフトをインストールさせられたり、サポート費用という名目で電子マネーを要求されたりする被害が後を絶ちません。
これらは全て「+1」から始まる番号を利用して信頼性を偽装しているに過ぎないため、音声が聞こえた瞬間に電話を切ってください。
もしも「+1」からの電話に出てしまった時の対処法
「うっかり知らない番号に出てしまった」「何秒か通話してしまった」という場合でも、パニックになる必要はありません。
大切なのは、その後の行動を正しく行うことです。

すぐに電話を切り、こちらからかけ直さない
電話に出てしまっても、相手の声を聞かずにすぐに切れば、それだけで直接的な金銭被害に遭うことは稀です。
絶対にやってはいけないのが、相手の指示に従ってボタンを押したり、折り返し電話をかけたりすることです。
「+1」への国際電話は非常に通話料が高く、折り返すだけで数千円単位の料金が発生する場合があるほか、「この番号は生きており、詐欺に引っかかる可能性があるユーザーだ」というリストに登録されてしまうリスクがあります。
不安を感じる場合の相談窓口
万が一、相手に個人情報を伝えてしまったり、金銭を支払ってしまったりした場合は、すぐに最寄りの警察署にある「#9110(警察相談専用電話)」へ連絡してください。
また、迷惑電話によるトラブルに強い弁護士や専門の相談窓口を利用することも、被害を最小限に抑えるための有効な手段です。
iPhoneとAndroidで「+1」からの着信を拒否する設定方法
二度と「+1」から始まる不審な電話で煩わされたくないのであれば、スマートフォンの機能で着信を遮断するのが最も確実です。
iPhoneでの設定(不明な発信者の消音)
iPhoneには「不明な発信者を消音」という非常に便利な機能が備わっています。
「設定」アプリから「電話」を選択し、「不明な発信者を消音」をオンにするだけで、連絡先に登録されていない番号からの着信を自動的に留守番電話へ回し、通知を鳴らさないようにできます。
Androidでの設定とキャリアサービスの活用
Android端末の場合は、「電話」アプリの「設定」から「ブロック中の番号」を選び、「不明な発信者」をブロックする設定が一般的です。
また、国内主要キャリアは共同で、国際電話による特殊詐欺被害を抑止するための対策を強化しています。
各社、国際電話の着信を一括で拒否するサービスを原則無料で提供しており、これを利用することで「海外からの着信すべて」を遮断可能です。
参考:一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)「第三者によるIP電話等の国際電話不正利用について」
迷惑電話ブロックアプリの導入
より高度な対策として、「Whoscall(フーズコール)」などの迷惑電話対策アプリを導入するのも一つの手です。
世界中の詐欺電話データベースと照合し、着信時に「詐欺の疑いあり」と表示してくれるため、判断に迷うことがなくなります。
今後の被害を防ぐためのセキュリティ対策
電話番号だけでなく、あなたの個人情報がどこからか漏れている可能性も否定できません。
VPNの利用による通信の秘匿化
公共のWi-Fiを利用する際などに個人情報が抜き取られないよう、VPN(仮想専用線)を利用して通信を暗号化することは、現代のインターネット利用において基本の対策です。
信頼できるVPNサービスを利用することで、あなたの居所や通信内容を詐欺師から守る盾となります。
防犯機能付き電話機の導入(固定電話の場合)
もし、ご自宅の固定電話にも「+1」などの不審な着信がある場合は、警告音を流したり自動で録音したりする「防犯機能付き電話機」への買い替えを検討してください。
詐欺グループは自分の声が記録されることを極端に嫌うため、録音機能を知らせるガイダンスが流れるだけで、彼らは即座に電話を切ります。
まとめ
「+1」から始まる電話番号は、北米(アメリカ・カナダ等)からの国際電話ですが、その実態の多くは巧妙な国際電話詐欺です。
「1855」や「1877」といった番号が含まれる場合は特に警戒し、決して折り返し電話をかけてはいけません。
万が一出てしまった場合でも、すぐに通話を終了し、スマートフォンの着信拒否設定やキャリアのブロックサービスを活用して、自身の安全を確保してください。
不審な電話に惑わされないための第一歩は、「知らない番号には出ない、かけ直さない」という鉄則を守ることにあります。

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