スマホの着信画面や履歴に、突然表示された「1833」や「+1 833」という見慣れない数字。「これってどこの国?」「何かの間違い?それとも大事な連絡?」と、正体不明の着信を前に不安を感じて検索されたのではないでしょうか。
もしあなたが、今まさにかけ直すべきか迷っているなら、絶対に折り返し電話をしてはいけません。
結論から申し上げます。その電話の正体は、十中八九「国際詐欺」あるいは「高額請求を狙ったワン切り」です。心当たりがないなら、100%無視するのが唯一の正解です。
この記事では、今のあなたの「漠然とした不安」を「明確な安心」に変えるため、以下の情報を徹底解説します。
- 1833の正体: どこの国から、なぜあなたの番号にかけてくるのか?
- 潜むリスク: もし興味本位で折り返すと、どうなってしまうのか?
- 確実な対処法: 二度と着信させないための、スマホの設定手順(iPhone/Android)
「間違って出てしまったらどうしよう…」という心配も、この記事を読めばすべて解決します。思わぬ被害に巻き込まれる前に、まずはこの記事で相手の手口を知り、自身のスマホを守ってください。
1833から始まる電話番号の正体は「北米フリーダイヤル」
まず、この見慣れない番号が一体どこからかかってきているのか、その正体を解明しましょう。画面に表示される「+1 833」や「010 1 833」といった数字の羅列は、決してランダムなものではなく、通信規格に基づいた発信元の情報を表しています。
国番号「+1」と局番「833」の仕組み
電話番号の冒頭につく「+1」は、国際電話における国番号(カントリーコード)です。「1」はアメリカ合衆国、カナダ、およびカリブ海の多くの島国を含む「北米電話番号計画(NANP)」に参加している地域に割り当てられています。つまり、この電話は日本の国内通話ではなく、太平洋を越えた北米地域から発信されている国際電話ということになります。
続いて「833」という数字ですが、これは特定の都市や州を示す地域局番ではありません。アメリカやカナダにおいて、通話料を受信側(かけた相手)ではなく発信側(契約者)が負担する「トールフリー(Toll-Free)」のコードです。日本で言うところの「0120(フリーダイヤル)」と同じ仕組みのものと考えて間違いありません。
アメリカのトールフリー番号には、歴史の古い「800」をはじめ、「888」「877」「866」「855」「844」などが存在します。「833」は、これらの番号が枯渇したことに伴い、2017年から新たに運用が開始された比較的新しい局番です。
したがって、1833からの着信は「北米地域で取得されたフリーダイヤル番号からの電話」であると特定できます。通常、フリーダイヤルは企業のカスタマーサポートなどが顧客からの問い合わせを受けるために設置するものですが、それが見知らぬ個人の携帯電話にかかってくるという状況自体が、極めて不自然で異常な事態なのです。
なぜ日本にかかってくる?主な発信元と手口
日本で生活しており、海外の通販サイトやサービスを利用した覚えもないのに、なぜ北米のフリーダイヤルから電話がかかってくるのでしょうか。その答えの多くは、機械による無差別な自動発信、いわゆる「ロボコール」にあります。
詐欺グループは、プログラムを使って何千、何万という電話番号に対してランダムに発信を行っています。彼らは特定の誰かを狙っているわけではなく、「たまたま繋がった番号」を探しているのです。そのため、あなたの電話番号がどこからか漏洩したわけではなく、単に数字の組み合わせでヒットしてしまった可能性が高いと言えます。
また、最近の傾向として、実在する巨大IT企業を騙るケースが急増しています。Amazon、Apple、Microsoftなどのサポートセンターを装い、番号通知を偽装(スプーフィング)して電話をかけてくる手口です。
彼らの目的は、電話に出た相手に対して「未納料金がある」「アカウントが不正利用されている」「ウイルスに感染した」などと虚偽の事実を告げ、金銭を騙し取ったり、個人情報を聞き出したりすることです。北米のフリーダイヤルを使用することで、「公式なサポートセンターっぽさ」を演出し、受信者を信用させようとする心理的なトリックが用いられています。
絶対ダメ!1833に折り返してはいけない2つの理由
不在着信に気づいた際、律儀な人ほど「大切な連絡かもしれない」と考えて折り返してしまいがちです。しかし、相手が「1833」などの国際電話番号であった場合、その親切心や確認作業は大きなリスクを伴います。ここでは、なぜ折り返しが厳禁なのか、その具体的な理由を2点解説します。
高額な国際通話料が発生するリスク
最大の理由は、金銭的な被害に直結するからです。一般的に「ワン切り(ワン・リング・コール)」と呼ばれる手口は、あえて1〜2回の呼び出し音で切り、相手に「誰だろう?」と思わせて折り返させることを目的としています。
もし、あなたがこの番号に折り返し電話をかけると、その通話は「日本から北米への国際電話」として扱われます。たとえ相手が「833」というトールフリー番号を使っていたとしても、それはあくまで北米国内での通話が無料になる仕組みであり、他国からの国際通話には適用されません。
結果として、かけたあなた側に高額な国際通話料金が請求されます。携帯電話会社やプランによって異なりますが、数十秒つないだだけで数百円から数千円の料金が発生するケースも珍しくありません。
さらに悪質なケースでは、接続した瞬間に有料の音声ガイダンスやアダルト向けサービスなどに転送され、通話料とは別に不当な利用料が発生する「国際収益分配詐欺(IRSF)」の被害に遭う可能性もあります。詐欺グループは、電話会社からキックバックを受け取ることで利益を得ているのです。つまり、あなたが電話をかければかけるほど、犯罪者グループを儲けさせることになってしまいます。
「カモリスト」に登録される危険性
折り返してはいけない2つ目の理由は、あなたの電話番号が「現在も使われている、騙しやすい番号」としてマークされてしまうことです。
前述の通り、詐欺グループはランダムに電話をかけています。その大半は「使われていない番号」や「出ない番号」です。しかし、あなたが折り返しの電話をした瞬間、相手のシステムには「この番号は実在し、持ち主は不審な国際電話にも反応してくれる人物だ」という情報が記録されます。
このようにして反応があった電話番号はリスト化され、いわゆる「カモリスト」として、ダークウェブや他の詐欺グループ間で売買・共有されることになります。一度リストに載ってしまうと、以下のような二次被害が雪だるま式に増えていく恐れがあります。
- 異なる国番号からの着信増加:北米だけでなく、イギリス(+44)やパプアニューギニア(+675)、スリランカ(+94)など、別の国からのワン切りが増える。
- SMSフィッシングの標的:宅配便の不在通知や、カードの利用停止を装ったSMS(ショートメッセージ)が頻繁に届くようになる。
- 特殊詐欺のターゲット化:将来的には、より巧妙な架空請求詐欺や投資詐欺のターゲットとして狙われるリスクが高まる。
「たった一度の折り返し」が、将来にわたって続く迷惑電話の呼び水となってしまうのです。興味本位であっても、接触を試みることは百害あって一利なしと言えるでしょう。
もし電話に出てしまったら?取るべき対処法
もし着信に気づかず、あるいはうっかり電話に出てしまった場合はどうすればよいのでしょうか。焦る必要はありませんが、適切な事後対応を行うことで被害を最小限に抑えることができます。
基本は「即切り・着信拒否・無視」
もし電話に出てしまった場合、相手が自動音声であれ人間であれ、基本は「すぐに通話を切断する」ことです。言葉を交わす必要も、最後まで話を聞く必要もありません。通話時間が短ければ短いほど、心理的な影響も金銭的な被害(通話料がかかる場合)も少なくて済みます。
通話を切った後は、二度と同じ番号からかかってこないように、スマートフォンの機能を使って着信拒否設定を行いましょう。OS別の手順は以下の通りです。
【iPhoneの場合】
- 電話アプリの「履歴」タブを開く。
- 該当する番号(1833…)の右側にある「i」マーク(インフォメーション)をタップする。
- 画面を一番下までスクロールし、「この発信者を着信拒否」をタップする。
- 確認画面で「連絡先を着信拒否」を選択する。
【Androidの場合】
- 電話アプリの「履歴」を開く。
- 該当する番号を長押しする(またはタップして詳細メニューを開く)。
- メニューから「ブロックしてスパムとして報告」を選択する。
- 確認画面で「ブロック」をタップする。
また、念のためキャリア(docomo、au、SoftBankなど)が提供している迷惑電話対策オプションの設定も確認しておくと安心です。これらの設定を行ったら、あとは徹底的に「無視」を貫いてください。
身に覚えのない請求が来た場合の相談先
万が一、電話に出てしまったことで「契約が成立した」などと脅されたり、後日SMSや封書で架空の利用料金を請求されたりした場合でも、決して支払ってはいけません。身に覚えのない請求に応じる義務はありません。
しかし、執拗な連絡や脅迫めいた内容に不安を感じ、自分だけで解決するのが難しい場合は、公的な相談窓口を利用することをお勧めします。
- 消費者ホットライン「188(いやや)」:局番なしの「188」に電話をかけると、最寄りの消費生活センターや相談窓口を案内してくれます。専門の相談員が、架空請求への対処法をアドバイスしてくれます。
- 警察相談専用電話「#9110」:緊急通報(110番)するほどではないけれど、警察に相談したいことがある場合に利用できる窓口です。詐欺の疑いがある場合や、身の危険を感じるような取り立てがある場合はこちらへ相談してください。
これらの番号は、いざという時のために電話帳に登録しておくか、メモに残しておくと良いでしょう。専門家の助言を得ることで、冷静な判断ができるようになります。
【まとめ】1833から始まる電話番号は危険!すぐ着信拒否を
本記事では、「1833」から始まる電話番号の正体と、その危険性について解説してきました。最後に、各項目の重要なポイントを振り返ります。
- 【正体】1833は北米のフリーダイヤル「+1 833」はアメリカやカナダ等のトールフリー番号ですが、日本への着信は国際詐欺やロボコールによる無差別発信の可能性が極めて高いです。
- 【リスク】折り返し電話は絶対NG興味本位でかけ直すと、高額な国際通話料を請求されるだけでなく、電話番号が「カモリスト」に登録され、さらなる迷惑電話やSMS詐欺を招きます。
- 【対処法】基本は「無視・着信拒否」電話には出ず、すぐにスマホの機能で着信拒否設定を行ってください。もしトラブルに巻き込まれた際は、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」へ相談しましょう。
知らない番号、特に国際電話からの着信は不安になるものですが、その正体を知っていれば恐れることはありません。「触らぬ神に祟りなし」の精神で、毅然とした対応(=無視)を貫いてください。
また、この手の詐欺は手口を変え番号を変え、常に新しいターゲットを探しています。ご自身の身を守るだけでなく、ご家族やご友人にも「最近、1833から始まる怪しい国際電話が流行っているらしいよ」と話題に出してみてください。周囲の防犯意識を高めることが、詐欺被害を未然に防ぐ最も有効な手段となります。
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