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「社内SEはやめとけ」は本当か?地獄の職場と天国の職場の見分け方

「社内SEへの転職を考えているけれど、検索窓に『やめとけ』という言葉が出てきて不安になった」

そんな相談を受けることが、エンジニア界隈に身を置いていると少なくありません。

結論から申し上げますと、「社内SEはやめとけ」という言葉は、半分は正解であり、半分は間違いです。

なぜなら、社内SEという職種は、企業のITに対する「投資スタンス」によって、エンジニアにとっての楽園にもなれば、スキルが枯渇する「キャリアの墓場」にもなり得るからです。

私は現役のインフラエンジニアとして、数多くの現場で監視システムの構築やネットワーク運用に携わってきました。

その経験から断言できるのは、エンジニアの幸福度は「技術に対して敬意と根拠を持つ組織にいるかどうか」で決まるということです。

この記事では、世間で囁かれる「社内SEはやめとけ」というネガティブな評判の真相を、現場の視点から論理的に解剖します。

「雑用ばかりでつまらない」「激務で辛い」といった地獄のような環境を避け、エンジニアとしての市場価値を高められる「天国のような職場」を見分けるための判断基準を、持ち帰ってください。

目次

なぜ「社内SEはやめとけ」と言われるのか?3つの構造的欠陥

まずは、なぜこれほどまでに「社内SEはやめとけ」「後悔する」という検索キーワードが溢れているのか、その背景にある構造的な問題を直視する必要があります。

火のない所に煙は立たないように、このネガティブな評判には明確な「根拠」が存在します。

「キャリアの墓場」化する技術停滞のリスク

最も多くのエンジニアが恐れるのが、「技術力の低下」です。

SIerや開発会社であれば、常に最新の技術トレンドや新しいプロジェクトに触れる機会があります。

しかし、IT投資に消極的な企業の社内SEになった場合、業務のほとんどは「現状維持」のための保守運用になります。

「動けばいい」という思考停止した現場では、なぜその設定が必要なのかという根拠の追求よりも、前例踏襲が優先されます。

結果として、レガシーなシステムの面倒を見るだけの管理人となり、気づけば市場価値のないエンジニアになってしまうリスクがあるのです。

これを私は「キャリアの墓場」と呼んでいますが、知的好奇心旺盛なエンジニアにとっては、最も辛い環境と言えるでしょう。

「便利屋」扱いされる雑用地獄

次に多いのが、社内SE=「パソコンに詳しい何でも屋」と勘違いされているケースです。

本来であれば、全社のIT戦略やセキュリティポリシーの策定、ネットワークの最適化といった高度な業務に従事すべきです。

しかし、ITリテラシーの低い職場では、「プリンターのトナーを変えてくれ」「Excelの使い方が分からない」「スマホのWi-Fiが繋がらない」といった、本来の業務とは呼べない雑用が殺到します。

これを「頼られている」と好意的に解釈することもできますが、エンジニアとしての専門性を発揮できないまま、日々の雑用に忙殺される毎日は「つまらない」と感じて当然です。

社内カーストにおける立場の弱さと板挟み

SIerではエンジニアが収益を生み出す主役ですが、一般的な事業会社において、IT部門は「コストセンター」として扱われることが多々あります。

営業部門や製造部門が「利益を生む部隊」として発言権を持つのに対し、情報システム部門は「金ばかり使う部署」と見なされがちです。

システム障害が起きれば全社から怒号が飛び、安定稼働していて当たり前とされ、感謝されることは稀です。

また、経営層からは「コストを削減しろ」と言われ、現場からは「もっと便利なシステムを入れろ」と要求される、板挟みのストレスは相当なものです。

このような構造下での業務は、精神的に「きつい」と感じる瞬間が多くなります。

それでも社内SEが「人気職種」である理由

ここまでネガティブな側面を強調しましたが、それでもなお、社内SEの求人倍率は高く、多くのエンジニアが目指す「勝ち組」のポジションであることも事実です。

環境さえ選べば、社内SEはエンジニアにとって理想的な働き方ができる職種だからです。

自社システムを「育て上げる」裁量権

私がインフラエンジニアとして最も重要視しているのは、「運用管理」の視点です。

SIerの場合、システムを作って納品すれば終わりというプロジェクトも多いですが、社内SEは自分が構築したシステムを長く面倒見ることになります。

「なぜここでこのコマンドを打つのか」「将来的なトラフィック増にどう耐えるか」といった根拠を持って設計し、それを自らの手で育てていくプロセスは、エンジニアとしての醍醐味です。

Zabbixなどの監視ツールを駆使してシステムの予兆を捉え、未然にトラブルを防ぐといった、深いレベルでの運用改善ができるのは、自社システムを持つ社内SEならではの特権です。

ユーザーの顔が見えるフィードバック

SIer時代は、エンドユーザーの顔が見えないまま仕様書通りに作ることが求められました。

しかし、社内SEの顧客は「同じ会社の社員」です。

自分が導入したチャットツールやネットワーク改善によって、「仕事がやりやすくなった」「ありがとう」と直接感謝される距離感は、仕事の大きなモチベーションになります。

Web3や暗号資産の分野でもそうですが、技術は社会に実装されてこそ意味を持ちます。

自分の技術がどのように役立っているかを肌で感じられる環境は、大きな魅力です。

コントロールしやすい納期とワークライフバランス

受託開発のような「客先都合の理不尽な納期」に追われることは、社内SEでは比較的少なくなります。

もちろん、大規模なリプレイス時期などは激務になることもありますが、基本的には自社でスケジュールをコントロールしやすい立場にあります。

プライベートの時間も確保しやすく、私のようにトレンドを追ったり、趣味のアクアリウムに没頭したりする時間を捻出しやすいのも、社内SEの大きなメリットと言えます。

失敗しない社内SE転職!「地獄」と「天国」を見分ける3つのチェックポイント

では、どうすれば「やめとけ」と言われる地獄の職場を避け、天国のような職場を見つけることができるのでしょうか。

求人票や面接で必ず確認すべき、具体的なチェックポイントを解説します。

1. 経営層のITに対する「投資スタンス」を確認する

これが最も重要な分岐点です。

経営層がITを「単なるコスト削減の道具」と見ているか、「企業の競争力を高める武器(投資)」と見ているかを見極めてください。

面接で「御社のIT予算は年々増えていますか?」「経営課題解決のために、IT部門にどのような役割を期待していますか?」と質問してみるのが有効です。

「とにかく安く済ませてほしい」というニュアンスが返ってきたら、その会社は避けた方が無難です。

実際、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)で成果を上げている企業の多くがIT予算を増額傾向にある一方で、成果が出ていない企業は予算が横ばい、または減少傾向にあるというデータが出ています。企業の「財布の紐」の緩み方は、そのままあなたの将来性に直結します。 参考:IPA「DX白書2023」進み始める日本のDX

逆に、DX推進など、攻めのIT投資を行っている企業であれば、新しい技術に触れるチャンスも多く、スキルアップが望めます。

2. 「内製化率」と「技術スタック」を聞き出す

全てをベンダーに丸投げしている会社に行くと、あなたの仕事は「ベンダーコントロール(電話とメール)」だけになります。

これはこれで一つのスキルですが、技術者として手を動かしたい人にとっては苦痛でしかありません。

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」以降、多くの企業がベンダー依存からの脱却(内製化)を進めています。最新の調査でも、システム開発を「自社で企画・開発する」と回答するユーザー企業の割合は年々増加しており、技術力のある社内SEは、今まさに国単位で求められている人材なのです。 参考:経済産業省「DXレポート2.1(DXの推進と内製化について)」

「社内でサーバー構築やネットワーク設定をどの程度行っていますか?」「クラウド(AWS/Azure/GCP)の利用状況はどうですか?」と確認しましょう。

私の専門であるYAMAHAルーターのMIB監視や、Linuxサーバーのチューニングなど、マニアックな技術にも理解がある現場であれば、エンジニアとしての知見を深めることができます。

3. 情報システム部門の「立ち位置」と「人数」

情報システム部門が独立した部署として存在しているか、それとも「総務部の一部」として扱われているかは大きな違いです。

総務部兼任の場合、前述したような「電球交換」や「備品発注」などの雑用が業務に含まれる可能性が跳ね上がります。

また、従業員数に対して情シス担当者が極端に少ない(例えば「一人情シス」)場合、業務負荷が集中し、激務で崩壊するリスクが高まります。

日本情報システムユーザー協会(JUAS)の企業IT動向調査においても、ユーザー企業の約半数が「IT要員の不足」を課題として挙げています。これは裏を返せば、適切な人数が確保されていない現場では、一人の担当者に負荷が集中する「ひとり情シス」化が起きやすいという客観的な証明でもあります。 参考:一般社団法人 日本情報システムユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書 2024」

適切な人員配置がなされているか、組織図上の立ち位置はどうなっているかを確認することは、自分自身の身を守るために不可欠です。

まとめ:「やめとけ」の声を鵜呑みにせず、事実に基づいた職場選びを

この記事の要点をまとめます。

  • 「社内SEはやめとけ」と言われる理由:技術停滞(キャリアの墓場)、雑用係化、コストセンター扱いによる立場の弱さが主な原因。
  • 社内SEの真の魅力:自社システムを根拠を持って育て上げる運用管理の楽しさ、ユーザーからの直接的な感謝、スケジュールの裁量権。
  • 優良企業の見分け方:ITを「投資」と捉えているか、内製化への意欲があるか、情シスが独立した組織として機能しているかを確認する。

社内SEという職種自体が悪いわけではありません。

問題なのは、ITエンジニアへの敬意を欠いた、一部の「ハズレ企業」が存在することです。

ネット上の「やめとけ」という感情的な言葉に流されることなく、事実と根拠に基づいて企業を分析してください。

私たちがシステムを監視し、ログを分析して障害原因を特定するように、転職先という「環境」も冷静に分析すれば、必ずあなたのスキルを活かせる場所は見つかります。

この記事が、あなたのキャリアにおける「正常な運用」の一助となれば幸いです。

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